くず鉄作りの海 - ジャンプ感想ログ(2010/05)

2010/5/26


ジャンプ感想(2010年25号)


少年疾駆(新連載)

「疾駆」→「Sick」で、中二病の少年てことですかね。いやこれ、皮肉とかではなく、主人公の”かっこつけたい”症からして普通にその意味を込めてますよね。略名を付けられるとしたら「少年病」とか「病」って付けられちゃうのかな。少年サッカー漫画なのにネガティブすぎるだろ。
どうせ中二病をやるならポケットに手を突っ込むとか生ぬるいところではなく、邪気眼クラスの中二病をやってくれないかな。ただのシュートにも「イーグル」とか「雷獣」とか動物の名前を冠した必殺シュート名を付けたり、ゴールポストで三角飛びをするアクロバティックプレイとかやってほしいです。

画力の問題でサッカーの動きに目を引きつけるほどの迫力がなかったり、主人公が感情をむき出しにした時の顔の誇張表現がやりすぎ感もあって多少鬱陶しく感じるところはありましたが、それ以外については特に悪いと思うようなところもありませんでした。
ただ、少年ジャンプで三大スポーツ(野球、サッカー、バスケ)物はこれまでも数多く登場していますが、『少年疾駆』には格別これまでの作品にはなかった魅力や要素は感じられないというのが個人的意見です。
ある程度リアル指向で描かれて登場キャラのスペックを現実的にした『フープメン』の人気が伸びず、能力物的な要素を取り入れて多少現実離れしたスペックにした『黒子のバスケ』の方が人気を勝ち取れたように、過去のジャンプ作品にはなかった多少大胆な要素がないと、「王道スポーツ物はもうお腹いっぱい」という感想を抱かれてしまうのではないかなと思っています。が、こういう感想も長いことジャンプを読んでいるからそう思ってしまうものなのかな。



ONE PIECE

※よい子のみんなへ、飲酒は20歳になってからね

エースが着ているTシャツって、前に『SKET DANCE』で椿が着ていたオリジナルTシャツと同じ類ですかね。ほぼ毎日デザイン(というか文字)が変わっているところからしてもエースなりの気合いが感じられます。
そして来年のジャンプフェスタのオリジナルグッズにこのエースTシャツと椿Tシャツが商品化されるわけですね。書かれている文字の内容から判断しないと、うっかり『ONE PIECE』ファンが椿Tシャツを買ってしまったり、『SKET DANCE』ファンがエースTシャツを買ってしまうかもしれないので、気を付けましょうね。「暴力」とか「略奪」とか、『無頼男』のPSYCLOPSが好きそうな単語が書かれている方がエースTシャツです。

「どくりつする」と書かれたダダンへの置き手紙の署名を見て、誰だか分からなかったのですが、エース、サボ、ルフィ三人の頭文字ですか。最後の字が見切れていますけど、「ASL」ですね。(5/26 記述修正)
あと、手紙には「どくりつする」と平仮名で書いておきながら、エースはがしっかり「独立」と書かれたTシャツを着ているのは、本当は漢字でも書けたけど可愛い子供アピールをするための計略ですか。エース……恐ろしい子!



BLEACH

やっぱりどんなに圧倒的な強さを見せたところでぬぐいきれないザ・ニュー・藍染さんのデザインから漂う雑魚臭さ。どうしてこうなった。パッと見、体に致命的なヒビが入っていて死にそうにも見えるし。
しかしザ・ニュー・藍染さんは口もないのにどうやってしゃべってるんでしょう。単に元々の藍染の体が殻に覆われているようなかたちであれば、殻の下でもごもごとしゃべってるってことなんでしょうけど。あの縦に入った溝のところが通風口になっていて、そこから声を出しているのかな。なるほど、単なるデザインだと思っていたあの十字にそんな重要な役割があったとは。

lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll
llllllllllllllllllllllllll/ ̄ ̄ヽlllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll
lllllllllllllllllllll /      ヽllllllllllllllllllllllllllllllllllllll
iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii  試 そ あ .iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii
iiiiiiiiiiiiiiiiiiiii|  合 こ き  |iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|  終 で ら  |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|  了  め  |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;|  や  .た  |:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:
;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;|  よ   ら  |:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ、      /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
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                  廴ミノ
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                 y':;:;:;:/⌒i!
          ∠===J:;:;:;:;};:;:/;},
      ;il||||li'       t`'---‐';:;:;:l
     ,.r'"''、,┘        7;:;:;:;:;:;:;:;「
    ノ4 (⌒i        .}:;:;:;:;:;:;;/
   /..,__彡{, |         `i:;:;:;:;:;}
   (  .ミi!} l、         .」:;:;:丿
  クュ二二`Lっ)        `==='
    一護           市丸

市丸は、これはもう本当に一護を殺す気はさらさらないんでしょうね。逆に戦意を喪失しかけた一護にハッパをかけたり、殺さず、戦う意欲もなくさせず、とても一護に気を遣っています。範馬勇次郎が息子の刃牙にかける親心と同じくらいの気遣いと言えば分かりやすいでしょうか。
一護に藍染と市丸だけが知っている利用価値が何かあるのか、それとも市丸に藍染への叛心があって、実力未知数の一護が藍染を倒してくれないかとでも思っているのか。なんか市丸だけは今シリーズで藍染が倒された後でも生き残って暗躍しそうですね。この後も王族や零番隊に昇格した曳舟などの伏線があるから、ここで藍染が倒されてもまだ話の続きがあるはずですし。



メタリカメタルカ

この人の絵柄でお色気要素は特に要らないかな…



バクマン。

ケーキの中から出てきたのってメモリースティックじゃなくてUSBメモリなんですが、意図的な間違えにも見えないし、ただの凡ミスなのかな。媒体を選ぶメモリースティックに入れるよりはUSBメモリに入れた方が確実だから、台詞のところだけ書き直されるんでしょうね。
個人的には、ヘタにビデオレターとかにするよりも声だけの方が、創作業に携わる真城にとっては想像力が刺激されて余計に興奮すると思うんですよね。
しかし、亜豆が仕込んだUSBメモリが普通のそっけないデザインなのが残念ですね。最近のUSBメモリはキャラクター物からファッショナブルなものまで、いろんな形をしたものが売られています。せっかくのクリスマスプレゼントなんだからメモリのデザインももう少しかわいらしいものをセレクトすれば良かったのに。例えば愛くるしいワンちゃん型とか。




恋人亜豆から贈られたクリスマスプレゼント。星降る聖夜に腰振るワンちゃんに入っていたのは亜豆の想いを込めたラブソング。まさに恋人らしいプレゼントじゃないですか。真城はもう生殺しです。



PSYREN

カブトはこれが初めての自分の力でやった戦いになるんですよね。オリバ風に言えば「童貞を捨てた」というところです。グリゴリ07号の救出の場にカブトも立ち会っていたら、間違いなく彼もアゲハとは別の意味で童貞呼ばわりされていたはずです。
初めは「逃げるだけ」だったのが、アゲハと出会うことで「逃げずに力になる」ことを選ぶようになり、そしてついには「他人を守るために」、「自分一人で戦い」、「そして勝つ」ところまで成長を遂げました。特に最後は三段跳びのレベルアップです。他のドリフトのアゲハや朧などは、PSIの力量はともかく、精神面では天性の殺し合いへの躊躇の無さがあって、あまりその点で成長を見せるようなキャラクターではありませんでした。その意味ではドリフトの中では一番良心的な成長の可能性を持っているのがカブトなのだと言えます。

さて、アゲハたちと対ジュナス&スカージの対戦状況は今のところこうなっています。

・シャオ V.S. ヴィーゴ(鬼瀬)
・フレデリカ V.S. ネッカ
・カイル V.S. デルボロ
・カブト V.S. アッシュ

そしてまだ戦っていないのが、

・アゲハ、雨宮さん、マリー V.S. ジュナス、バーリィ、オド

です。ヴァンは非戦闘員だから当然ここには入りません。
ドリフト&エルモアウッズとW.I.S.Eメンバーでちょうど同じ数がそろえられていますから、この後も全てタイマンバトルでいくものと思われます。
忠誠心が皆無のタブーしか部下にいなかったドルキさんと違って、ジュナスには精鋭かつ忠誠心もありそうな人型の部下を従えることができているあたり、同じ星将でも天地の差があったことは分かります。
ああでも、ヴィーゴはどうだったんでしょう。こいつは半裸でしたけど見たところはイルミナス・フォージが埋め込まれた痕跡は見えませんでしたね。まあ下半身に埋め込まれていた可能性もあるけどあまり深追いして想像したくはない。
ヴィーゴだけは初期W.I.S.Eのメンバーの一人ですし、このまま使い捨てキャラたちと同じくあっさりやられてしまってはいないんじゃないかなともちょっと思っていたりします。なんとなく首の骨折られたくらいじゃ死ななそうな人ですし。


2010/5/19


ジャンプ感想(2010年24号)


メタリカメタルカ(新連載)

設定としてはなかなか面白いんじゃないでしょうか。架空の様々の特性を持った鉱物を次々と出していくことで、今『トリコ』がやっているような話の広げ方もできるでしょうし、アイデア募集というかたちで読者と一体に動くこともできます。近年は能力バトルが主流となる時代が続いていましたけど、道具をいかに使いこなすかというアイテムバトルという流れができてもいいんじゃないかと思っています。
ところでルカの金属を粘土のように自在にできる能力ですけど、これ、やろうと思えば『PSYREN』の鬼瀬がやっていたような生きたままの人間石膏(銅像)とかもできちゃいますね。ルカを本気で怒らせたりでもしたら恐ろしい目に遭わされますね。

ちょっと残念だなと思ったのは、悪役の個性があまりにテンプレすぎたことですかね。せっかく面白くなりそうな世界設定を作っても、キャラクターの個性がありきたりすぎると残念な結果になってしまいますし。



BLEACH

藍染

『バクマン。』で「シリアスな笑い」というテーマを出した直後に『HUNTER×HUNTER』ではゴンさんを、そして今週の『BLEACH』ではザ・ニュー・藍染さんを出してきて、この人達、最初から示し合わせてやっているんじゃないかとさえ思えてきます。



トリコ

「20年かかる」っていうのは、彼らのポテンシャルをもってしたら想像以上に早くできました、っていうのための分かりやすい前フリでもありますね。もっとも、島袋先生がその20年をどれくらいの期間にまで短縮させるつもりなのかは分かりませんが。センチュリースープは伏線として小松の長期スパンの目標にしてしまうこともできますが、トリコの腕の方は早いところ治さないと作中で主人公がずっと戦闘のハンデを背負ったままになってしまうので、一年もかからないのかな。せめて切断されたトリコの腕が原形を残していれば、愚地独歩の如く急いで冷凍保存して一晩で闇医者につなげてもらうこともできたでしょうに。
トリコの腕の方はともかく、センチュリースープについてはセツ婆も下拵えの食材を用意するだけでも年単位の時間を要するかなり大がかりの準備をしていましたから、小松が同じことをやろうとすれば技術的な問題以前にそれだけでも時間がかかるはずですね。
センチュリースープを作るための食材の入手や研究が作中における今後の小松の使命となり、最終的には小松が完成させたセンチュリースープがトリコのフルコース:スープの枠を埋めるという予定でしょうかね。



ぬらりひょんの孫

イケメンビジュアル系で登場したSho-KERAさんも正体を現してみればなかなか妖怪らしいグロテスクな姿になり、ちゃんと虫の姿になってくれたことが嬉しいです。
ところで、しょうけらの部下妖怪たちが『強殖装甲ガイバー』の雑魚敵に出てきそうなデザインなのが妙に気になってしまいます。ボスが虫系モンスターだから部下も同じ系統でそろえたのだろうとは思いますが、なぜに皆ベースは人間の骨格なのでしょう。


しょうけら「わかりました。今すぐこの子らを殺します。羽衣狐様に……」

IBARAKIDOUJIさんは自分のFaceに埋め込んだFatherのFaceにSO-TO-BAを立てて供養するとともにピンチの時には話しかけて活力をもらったりしていたけど、Sho-KERAさんもこれはこれでなかなか電波なキャラクターです。突然見えない誰かとお話をはじめたかと思えば、相手の意向を無視してSATSUGAIを決定してしまうという、子供たちにとってはとても迷惑な妖怪です。
一瞬だけ、しょうけらの頭の後ろに変な影が現れていましたけど、単なる電波ではなく実際にしょうけらに暗示をかけて思い通りに動かしている存在がいるのか、それとも彼の脳内神様を表現していただけなのか。



四ッ谷先輩の怪談。

今週は特に怖い描写が来たんじゃないでしょうか。新人でここまでの描写が出来る人もなかなかいないのではないでしょうか。私個人はこの描写能力はかなり高く評価しています。

ただ、作品そのものが面白いかと言われるとかなり微妙なところではあります。
そしてその原因もはっきり分かっています。ホラー漫画として描かれていながら、この作品に出てくる怪異や霊といったホラー要素の類が全て四ッ谷の仕組んだ自作自演であることが読者に初めから分かってしまっていることです。初めから”偽物”だということが分かっているから、出てくる怪異がどんなおどろおどろしく描かれていても読者はそこに臨場感や恐怖感を抱くことはありませんし、作中でそれに対して怯えている登場人物たちに共感することすらできません。
本物の怪異や死亡被害者(過去に起きた事件として出すことはありますが)は決して出さないというスタンスを取っているようなので、今後もその展開は変わらないでしょう。
ただこれは、推理小説で言えば、最初に真犯人と誰が殺されるのかを提示したうえで話が面白くなるように盛り上げろと言われているようなものです。設定として初めから無茶な条件になっているのです。
設定を変にひねりすぎて失敗してしまったのではと思っています。もっとストレートに普通のホラー作品としてやっていれば、古館先生の長所ももっとふんだんに活かされたものが出来上がっていたのではないでしょうか。
ただ、少年ジャンプとしてそういう方向で掲載したり人気を取るのは難しいと判断されたりもしたのかな。



PSYREN

ヨヨ「真の脅威メナスが完成したのなら」
ヨヨ「カブトはん……危うきには出逢えぬ」
ヨヨ「己の危機に気付くまでも無く――――」
ヨヨ「脅威そこへ辿り着けぬのじゃよ」


1ページ目のカブトに抱きかかえられたフレデリカ。この位置でパンツが見えていないのは一片の反論の余地もなく彼女がぱんつをはいていないからに他ならないのですが、この事実をどう受け止めるべきか今一度よく考えてみたいと思います。


ヨヨ「クク…トマドッテイルゼ…アイツニハコノ”ヨヨ”ガ視エテイナイ。ダッテオレハ、オマエノ中ニイルダケノ存在ナノダカラ」

カブトの能力は彼の心の内で動いているようなものだから、PSI能力の大きさに関係なく他人には見ることができないのか。初期にアゲハたちがドルキと戦った時はPSIの力の差が大きすぎて、ドルキの攻撃の発動を視認すらできず、カブトのメナスの能力でなんとか助けられていましたっけ。カブトの能力は彼にしか見ることができないというのが特性であれば、PSIの力量に関係なく視認することのできない能力ということになりますね。
要するにカブトは他者には一切見ることができない存在とコミュニケーションを取りながら戦わないといけないわけですが、ヘタすると見えない誰かとお話を始めてしまう危ない人に見えかねませんね。

カブトのメナスの能力が成長して生まれたヨヨの能力は、簡単に言えば「ドラゴンズ・ドリーム」でしょうかね。単に攻撃の軌道を強制的に曲げてしまうというものであればテレキネシスで済む話ですし。あと、フレデリカをお姫様抱っこしながら「今絶ッテー無理!!」と言っていたのは、彼がフレデリカと一緒にいることで彼女をヨヨの能力のカバー範囲に入れることができていたからなのでしょう。
ところで”お姫様抱っこ”といえば、対遊坂戦でアゲハが雨宮さんにやったばかりです。時代が時代ならプロポーズに相当する行為です。これはまさかのフラグ成立でしょうか。

ヨヨはメナスの進化系なくらいなのだから、攻撃の属性・種別、力の大きさに関係なく効果を発揮できるくらいの特性はあるのかな。
ただ、元来メナスが攻撃向けの能力ではないことからはっきりしているように、今のところ敵方の攻撃をかわすことはできても大きなダメージを与えることはできていません。あくまでかわすだけでリフレクトでそのまま相手に返すというものでもないようですし。まだイアンの元で受けていた訓練というカードもあるから、攻撃手段はそこに絡んでくるのかな。


2010/5/13


ジャンプ感想(2010年23号)


トリコ

ジャンプで野郎の入浴シーンが堂々とカラーで描かれたのは十年単位で久しぶりのことなんじゃないでしょうか。しかもなぜか背景がピンクカラーです。いったい誰がこれに対して脳内がピンクタイフーンするのか、誰得なんだよ、とも思いましたが、よく考えたら『トリコ』は女性層の人気も高い作品。サニーのこの美しすぎる生ケツも需要は充分に見込めるというところですか。

頭文字を略すのがしゃべりの特徴のサニーですけど、鉄平の名前を呼ぶ時は「っぺい」じゃなくて「てっぺ」になるんですね。前者だと言いにくいのはなんとなく分かりますが、しかし「てっぺ」ってなんか地方訛りみたいな言い方ですね。ちなみにGoogle先生で検索すると、最初に「茨城なめてっぺ?」というタイトルの2chスレが出てきます。すみませんでした。島袋先生に代わって私から茨城県民の皆さんに謝罪しておきます。

作者のさじ加減一つでどうにでもきる以上あまり気にしてもしょうがないところですけど、極度の寒冷地帯に適応して生息していたウォールペンギンて、常温以上の気候の土地に来ても対応できるものなんでしょうか。ほぼ四六時中冷凍庫の中にいないと体がもたないなんてことになったらかわいそうですね。

ライフの国の天然医療施設のあれこれは読者も作者も楽しんでやっている感じがあっていいですね。この辺は『トリコ』という作品の強みだなと思います。



NARUTO

人柱力としてナルトと同じような境遇を送ってきていたビー。しかし兄、雷影のためにも誇りを持って己を表現してきたといいます。そのこころざしはいいのですが、表現手段があの妙なダジャレラップであったことを考えると手段の選び方は失敗してしまったようですね。とても残念なことだと思います。雲隠れの忍たち、みなビーのことを尊敬していると言っているわりには誰もあのダジャラップを真似していないよね。尊敬しているのは本当かもしれないけどダジャップに関しては一線を引いているよね。あなたのことは尊敬はしているけどそれだけはできない的な。
雷影の兄弟であったために人柱力に選ばれたビー。そしてナルトや我愛羅も里長の息子であったために人柱力となって不遇の幼年期を過ごしていました。しかしナルトの場合は本人も父親が火影であることを知らなかったくらいだから、そのことは火の国の人間にはほとんど知らされていなかったわけですよね。命と引き替えに里を救った英雄である四代目の息子だというのに、そのことをほとんどの忍が知らないでいたのも今にしても思えばかなり奇妙なことなのですが。

昔はともかく、今ではその人格のなせるわざで雲隠れの英雄として敬われているというビーですけど、でもこの人、暁に捕らえられたフリして行方をくらましたりとか結構好き勝手なことやっていたよね。
八尾は昔はむちゃくちゃだったけど人柱力であるビーに会って丸くなったと、更正した元ヤンみたいなことを言っていますが、ナルトも九尾を制御できるようになれば、今はいつ乗っ取られるかもしれない恐ろしい存在である九尾にもデレ期が来るということでしょうか。ナルトに「キューちゃん」て呼ばれる日も来るかもしれないのでしょうか。



べるぜバブ

忍足?



ぬらりひょんの孫

陰陽師勢の主力メンバー以外が圧倒的に弱いのがなんとも残念です。お話の展開としては雑魚勢は一掃させた方が都合がいいのでしょうけど、陰陽師側が現頭首を含むベテラン勢なのだから、羽衣狐のようなボスクラスならともかく敵の一幹部くらいにはせめて善戦はさせてほしいと思うところ。

羽衣狐を「闇の聖母マリア」と称し、妖怪のくせに似非キリシタン趣味満載という、IBARAKIDOUJIさんとは違うベクトルで邪気眼的な風情を醸し出しているしょうけらさん。やっぱりIBARAKIDOUJIさんとSho-KERAさんの二人は仲が悪いようでなんだかんだといいコンビだと思います。
しかし”しょうけら”という妖怪は三尺虫が元になっているとも言われていて、それがこんなイケメンさんになってしまって、これまた随分とイメチェンどころではない大変身を果たしたなと思います。そんな、声まで変わって。

しょうけらを迎え撃つのは早々に倒されてしまった陰陽師ではなく、”子供を守る”妖怪の青田坊。でも青田坊が”子供好き”な様子を見せたところってありましたっけ。返り討ちにした人間の不良集団に慕われて番長になっていたり、どっちかという兄貴系だよねこの人。ガチムチやで。
つららにそんな自分のキャラクター設定を指摘されても青田坊が素直にならなかったのは、やはりここ最近の世間の風潮から、迂闊に”子供好き”なんてプロフィールを出したら勝手な性癖レッテルを張られてとんでもないことになってしまうことを危惧してのことでしょうか。



BLEACH

久保先生はあと何回「やったー藍染倒したよ」→「効いてませんでした」をやるつもりなんだろう。今さら浦原がどんなすごい技を出そうが藍染が苦戦すらしていないことは分かりきっちゃっているしなあ。10回は刺さないと死なないサイアーク(連載継続版)みたいなキャラクターになりつつある藍染。

崩玉の中…すごくあったかいナリ…な状態で崩玉と身も心も一つになりつつある藍染ですが、虚化のように死神を超えた別種の生態になってしまうということなんでしょうかね。「九十番台の鬼道ですら最早かわすには値しない!」と言い始めた時点で、もはやまだ卍解も見せていない鏡花水月の能力を使う気すらなくなっていますが、究極生物カーズのごとく新生物として無敵ぶりをふるうというパターンでしょうか。
相手の攻撃を無駄打ちさせて隙を突く鏡花水月の能力と、地力の強さでゴリ押しパワーを発揮する崩玉の力とでは全く噛み合わない組み合わせですしね。ラスボスがトリッキー能力を使うというのは面白かっただけにちょっと残念です。



HUNTER×HUNTER

すごく真面目で悲痛なシーンなんですけど、ゴンさんコラのせいでどうしてもどうしても…
もうゴンさんがどんな表情をしてもネタにされる気がする。

ピトーは容赦なく死亡。しかも頭部、というか顔面を何度も何度も殴りつけられた後に粉々に砕かれるという凄惨な死に様です。ここまで一方的な展開であればもっと他に手っ取り早く息の根を止める倒し方もあったでしょうに、顔面一点集中で狙ってきたあたりにゴンの憎しみの強さがまた一層生々しく感じられます。
頭部を砕かれて死亡したピトーは、死後の念能力の発動により骸の操り人形となって再びゴンに襲いかかります。しかしゴンは自分に残った全ての力を使い切るつもりで迎え撃ちます。
状況としては、大きなダメージは負いながらも勝てる見込みがほとんどなかったピトーを倒せたのです。この面だけ見れば喜ぶべきところですが、この後にこの作品の主役であるゴンがどれほど甚大な代償を支払うことになるのか想像も付かないということ、そしてこのゴンの決意が自暴自棄に近いかなりネガティブな方向から来ていることが今の状況を全く喜べないものにしています。
片腕を失って「少しだけ救われた」と言っているゴンですけど、これは到底前向きな気持ちなんかではありません。自傷行為に心の平穏を求めることに近いです。
以前にゴン達が宮殿に乗り込む直前、王が治療を必要とする深手を自分で負わせた理由について話し合っていた時、ゴンは「自分が許せない時」と答えを出していましたが、カイトに対してずっと責任を感じ続けていたゴンは自分自身のことも投影していたのでしょう。確かに「自分が許せなかった」という点に関してはゴンは正解を言い当てたと言えますが、しかし王の「自分が許せなかった」理由は己のプライドとコムギに対しての敬意から来るものであったのに対し、ゴンの「自分が許せなかった」理由はカイトの死に対しての負い目からです。全くのネガティブな理由からです。その点ではゴンの回答は外れてもいたわけです。

さて、素直にゴンの勝利を喜べない今後の展開ですが、ゴンにどれだけの代償が返ってくるのかが気になるところです。戦いのために取り返しのつかない代償をあえて支払うという展開自体は珍しくはありません。例えば『バキ』でピクルとの戦いで渾身の一撃のために片腕を失った愚地克巳、『うしおととら』で紅蓮に自分の体の一部をあえて食わせたヒョウ、『ダイの大冒険』で己の全力を出すために元の姿に戻れなくなった大魔王バーン、等々……
しかしそれらは脇役や敵方のキャラに起こることであったり、仮に主役格だとしても何があってもいい物語の最終局面であったり、今回のように旅路の途中も途中の中で主人公がこのような犠牲を払う例は珍しいです。
もちろん、『HUNTER×HUNTER』世界にはグリードアイランドにあった「大天使の息吹」のような常識はずれの回復手段も存在します。しかし、ここまで深刻な前フリをしておいて富樫先生が安易に後からゴンが完全復活できるような救済措置を入れてくるとは考えづらいです。作者が富樫先生だけに、ここはかなりシビアにゴンに大きな代償を課してくるのではないかと思っています。



賢い犬リリエンタール(最終回)

半年ほど続きましたが、残念ながら打ち切りとなりました。ただ、最近のジャンプの打ち切りによくある、展開も中途半端なところでばっさり終了というかたちにはならず、描ききれなかったものはあるにせよ一応終局の展開から大団円に至るまでを描かせてもらえた分、扱いは良かった方になるのではないでしょうか。
『リリエンタール』に関しては感想サイトをやっている人など、漫画をよく読む人には全般的に評判は良く、根強いファンは確かにいた漫画だったと思います。
私自身は、この作品には特別には好きの面にも嫌いの面にも思い入れはなかったのですが、あえてその立場でフィルターのかからない好きでも嫌いでもなかった側の視点で『リリエンタール』に何が足りなかったのかをちょっと考えてみようかと思います。

・画力(描写力)
もちろん、漫画に絵の上手さは重要ではあっても必須ではないと思っています。
ただ『リリエンタール』という漫画は、構成的に高い画力が必要とされる描写をすることが多かったと思います。例えば、第一話のバスが深海の中を移動するシーンや、マリーと出会った幽霊船内の描写、他、終盤のボスとの戦いなど、本来は作者の描写能力を活かして読者の目を作品世界に引きつけるはずのところが、描写に単調なところがあって作者が本来読者に伝えたいと思っている迫力が伝えられていないように見えました。
それがただ不足しているというだけなら、この作品が好きな読者ならイメージは受け手で補完すればいいし、マイナスにはなりません。しかし、この作品はリリエンタールが生み出す生物や空間など、不思議な世界の空気が大きな魅力でもあるので、そこが描写力の不足で伝え切れていないのは作品の魅力が伝えられていないということでもあります。

・曖昧さ
これは作者が意図してなのか詰めの甘さなのかは分かりませんが、『リリエンタール』は全体的に明確なロジックの解明というものを避けていました。リリエンタールの能力がかなりルール無用ななんでもありなものなので、そこに『HUNTER×HUNTER』や『ジョジョ』の念能力やスタンド能力のような法則性やロジックを求めることがそもそも無意味なのですけど。
ただ、この作品はそうしたリリエンタールの能力の謎を解明しようとすることに焦点が絞られることが多かったですし、リリエンタールの能力が引き起こした不思議な異変も基本的には”誰が”、”なぜ”引き起こしたというところに真っ先に焦点を当てていました。
しかし、その中心のリリエンタールの能力が結局、”人のイメージの力で何でもできるもの”というかなり曖昧なものとしてしか定義されていなかったため、発生した出来事のロジックに読者の焦点を集めようとしているわりには、それに対して明確な回答を出そうとすらしていなかったのです。私個人はこういう曖昧さに歯がゆさを感じたところもあったので、その辺が「能力物」には厳格なルールが適用されることが多いジャンプ誌上では広く人気を獲得するには至れなかった要因ではないかと思っています。

・悪役の不在
基本的にこの作品は善人しかいませんでした。かろうじて終盤に登場したボスが悪と言えた存在でしたが、サングラス組は早々に味方よりの立場になりましたし、もっとも敵対的な立場にいたエリート組ですらあっさりと主人公側に付いてしまったくらいです。
もともとこの作品は”ゆる系”のお話だったので、ガチで敵対しないといけない人物を存在させること自体が作品世界にそぐわなかったことも確かです。紳士組のような相手と気の張りつめない戦いやら日常生活やらを中心に展開させたかったのだとは思います。
ただ、ストーリー設定がリリエンタールが大きな勢力を持った”悪”に狙われているというものだったので、終盤に登場したボスだけは”いい人”にすることはできなかったように、作者が悪人を登場させることを嫌いながらも、話としてはそういう存在を登場させないと話を成り立たせることができなかったというちぐはぐさがありました。