くず鉄作りの海 - 暗殺教室感想ログ(2012/10)

2012/10/8


暗殺教室感想(2012年45号)


第13話 くるくるの時間


回転は無限の力だ!(ジャイロ・ツェペリ)



椚ヶ丘学園理事長、浅野學峯。 シンプルな名字とは対照的に名前の方はすごく書きにくそうです。
そしてこの学園の創立者にして、その徹底した合理主義によってわずか十年で優秀校に成長させた経営者でもあります。
創立十年とは、椚ヶ丘学園って意外と歴史の浅い新設だったんですね。出来たてならばあの本校舎がきれいなのは分かりますが、旧校舎の方はどう見ても十年どころじゃ済まない超ビンテージ物です。たまたま近くに廃校になった校舎施設があったからそれを安く買い上げて流用したということでしょうか。たまたま近くに廃校がなかったら、下手したらE組生徒は青空教室の待遇だったのかもしれませんね。
あの理事長の徹底ぶりを考えると、E組への差別化のためだけに、わざわざ解体予定の廃校舎を、それもとくにボロいのを選んで取り寄せて移築させるくらいのこともやりかねないですけど。



前回の理事長の挑発に対抗心を燃やし始めた殺せんせー。分身の数も大幅増量(当社比)しての授業の力の入れようです。
そしてここまでやるとさすがに殺せんせーでも疲労するようです。銃弾無効化や毒物無効化などのチートスキルを持つ殺せんせーですが、一応スタミナの概念はあるようです。人間の観点で見るなら当たり前のことのようでもありますが、これも殺せんせーの弱点の一つになりませんかね。
『ネウロ』でも無敵の力を持つ魔人のネウロを倒すためにシックスは、ネウロのスタミナ(魔力)削りという戦略を取っていましたが、殺せんせーにもその戦略は通用するということです。



あきらかにやりすぎ感もあるE組差別制度ですが、やはりうまく回していくための救済措置も用意されていました。
定期テストで学年186人中50位以内に入り、かつ担任の許可があれば復帰が可能。50位以内なら全体の4分の1以内、一見それほど無茶な条件には見えません。これがこの差別待遇への反対をしにくくさせている要素でもあるのでしょう。
しかし、もともとE組に落とされるような成績下位の生徒たちがただでさえ劣悪な学習環境に置かれれば、どう考えても後は堕ちていくだけ。『カイジ』の地下強制労働施設に収容されるようなものです。建前の公平さとは反対に、実状は元のクラスにはい上がることをより困難にさせています。
そして「担任の許可」という点もいやらしいところです。カルマのように成績優秀にして超問題児がた場合も、いくらテストで良い成績を出そうが担任がNOを出し続ければ元のクラスに戻らせないようにすることもできるわけです。

ところで、前回、浅野は「5%の怠け者」と表現していました。つまりE組生徒の数は約5%で保たれているはずですが、186人中の26人だと数が多すぎます。
各学年とも同じくらいの生徒数と仮定して、26人/(186人×3学年)とすれば、ほぼ5%に近くなるので、E組はこの3年生にしか存在しないようです。まあ、今まで1、2年のE組がかけらも出てきていないので、この1クラスだけなんだろうとは分かっていましたが。
ということは、E組制度自体が、受験の始まる3年生になってからということなんでしょう。見せしめのための被差別対象(E組)は5%の1クラスあれば充分でしょうし、あえて他の学年にまで設ける必要はないということなのでしょう。



強制的ながらも「暗殺」という目標を持たされ、奇妙ながらもそのターゲットである殺せんせーによって自信は付けていたE組生徒。しかしそれが「勉学」に対してのあきらめモードを払拭することにはなっていなかったことに気付いた殺せんせー。彼らの意識を変え、奮起させるために「暗殺」方面ではないハードなミッションを課してきます。中間テストでクラス全員が186人中の50位以内に入ること。これまでのE組生徒であれば当然ほぼ無理な話ですが、彼らには殺せんせーが各個人レベルの成長に合わせて叩き込んだこれまでの授業があります。単なる強気だけではなく、彼らの学業の発展ぶりも把握しているからこその強気な態度なのでしょう。

あと、基本、巨乳好きなんですか先生。


2012/10/15


暗殺教室感想(2012年45号)


第14話 テストの時間

第14話



今週はまるで学園漫画みたいなサブタイトルがきましたね。



いきなりの大型モンスター登場に、読む漫画間違えたか!?異世界ファンタジーに路線に変更始めたか!?『暗殺教室〜夜明けの炎刃王』が始まるのか!?と、ちょっと焦りましたが、極悪難易度である中間テストに挑むE組生徒たちの心理状態が描写されていただけでした。
こんなガノトトスみたいな奴を相手に剥ぎ取りナイフ一本で挑もうとはかなり無謀ですが、殺せんせーが直々に鍛え上げたE組生徒たちにとって、かつてはモンスターに見えた≪高難度≫問題も今ではきれいに裁いて三枚におろせるただの魚となりました。
落ちこぼれクラスのE組とはいえ、元々超進学校である椚ヶ丘中学に入学できるレベルはあった生徒たちです。適切な指導ができる教師さえいれば短期間で底辺から這い上がることはそう難しいことではないのでしょう。まあ、あの理事長はそこも考慮して、一度E組に落ちた生徒には極端な差別待遇を強いて簡単には這い上がれない環境を意図的に作っていたのでしょうけど。

さて、殺せんせーの指導のおかげで難なく凶悪テストも乗り越えられるかと思っていたE組生徒たちでしたが、しかしあの理事長はそう甘くはありませんでした。
テスト直前に、E組には秘密裏に出題範囲を大幅変更し、本校舎クラスにだけ特別授業まで行うという気合いの入れようでE組の平均点を落とさせるという力業に出ていました。
結果、完全に未見の学習範囲の問題を出されたE組のほとんどが目標の50位以内には到達せず。さすがにこれには烏間も教師の立場として大いに抗議をしますが、初めからE組を地から這い上がらせる気のない理事長以下、その方針に従う教師たちは聞く耳も持ちません。
教師としてE組生徒たちに肩入れしてきた心情もさることながら、これで殺せんせーがE組を去ってしまうことになるのも烏間にとっては大いに大問題です。彼にとっては「こっちは地球の運命がかかってるのになに余計なマネしてくれてんだ」という気持ちでしょう。
あの理事長、「暗殺にはノータッチ」と言っておきながら間接的に邪魔者の殺せんせーを追い出す方向に持っていきました。地球の行く末がかかったミッションには興味のない理事長にとっては、E組の相変わらずの底辺維持と理事長が築き上げた学園の秩序を乱しかねない危険分子である殺せんせーの追い出しの両方を達成できて一石二鳥です。「両方」やらなくっちゃあならないってのが「理事長」のつらいところだな。

唯一、成績に合わせて範囲外の勉強まで受けていたカルマだけが186人中4位という好成績を残せていました。素行が理由でE組に落とされたカルマの頭の良さあってのことでもありますが、そこで殺せんせーが指導熱心になってくれなかったらどうなっていたかは分かりません。自宅学習するタイプでもなさそうだし、殺せんせーが欲張って教えたおかげといえます。
しかし、500点中494点で4位って、まだこの上に3人もいるんですか。

E組を卒業する気はない宣言をしたカルマが気を利かせてくれたおかげで殺せんせーがE組を去るという結末は回避されました。
今回は不公平ながらもぎりぎり反則ではない手段を取ってきた理事長には完敗という結果でしたが、生徒達との信頼関係は雨降って地固まるというところですか。


2012/10/22


暗殺教室感想(2012年46号)


第15話 旅行の時間

作中では修学旅行のシーズンということで、学園物では定番ネタに入りました。
行き先もオーソドックスに京都です。中学の修学旅行の大定番といえばそうだ京都、行こう。関西方面だったりすると逆に京都は近すぎるので、沖縄やディズニーランドに行くこともあるようですが。なお、関東地方の南西にある海に面した県、あれがディズニーランド県です。県庁所在地であるディズニーランドの周辺から全てがディズニーの植民地領域です。

修学旅行でテンション上がりまくりの教員、殺せんせー(生徒たちの暗殺対象)。「荷物デカい」とかいうレベルを超えてもう何か異形の物体となっています。人を2、3人詰め込めそうです。ラジコンとかはともかく、コンニャクは何に使うつもりなんですか先生。そんなものなくてもにゅるにゅるの触手があるのに。

渚の班はカルマの他、茅野と、野球系男子の杉野、毒系女子の奥田、そして今回初めてスポットが当たるクラスのマドンナ、神崎さんです。
見た目通りの「おしとやかでおまけに美人」と評される彼女。作品が違えば生徒会長でもやっていそうなかんじの人ですが、そんな女の子がエンドのE組にいるという時点で何か裏がありそうで怖いです。豹変系女子の臭いを感じます。

差別措置を徹底する椚ヶ丘中学では、修学旅行でも待遇に差を付けていました。A〜D組はグリーン車、E組だけは普通席。でも一般の中学校の修学旅行なんてたいてい普通席でしょうし、普段の差別待遇を考えれば、普通車乗り継ぎとかでないだけまだマシですか。それより移動手段よりも宿の方が心配ですね。E組だけ露骨に安宿だったり野宿とかだったりしませんかね。あの理事長ならそれくらいやりかねない。
そして「うちの学校はそういう校則だからな。入学時に説明したろう」という言葉から、このE組の差別待遇の制度はどうやら親も生徒も事前に承認したうえでのことなんですね。事前承諾と(見た目的には)それほど難しくない救済措置によってE組制度が糾弾されることを防いでいるのですね。
E組の待遇に不満があるならテストで条件をクリアすればいいだけと言われるだろうし、この制度自体に不満を言おうにも事前に了承しちゃってるわけですからね。それが嫌なら転校すれば、という話になるわけです。



殺せんせーと同じくらいに浮かれハイテンションだったのがビッチ先生。思い切りセレブファッションでやってきましたけど、行き先分かってます?京都ですよ?修学旅行ですよ?逆に浮きまくるだろ。浮かれすぎて京都の武器屋で模造刀を大量に買って帰りそうな勢いです。でもそんなはしゃぎすぎるビッチ先生もかわいい。
そしてそんな浮かれモードの修学旅行の最中でもいつもと変わらないのが烏間先生。あなたは少しくらい浮かれたらどうですか。

さてそんなうきうきモードの生徒たちですが、清楚系ヒロイン神崎さんが早速ガラの悪い連中に目を付けられました。修学旅行で他校のヤンキーと一触即発って、まるで不良漫画みたいですね。まるで学園漫画のような展開です。
あと神崎さんの手帳、自分の似顔絵描いているところがなにげにかわいい。


2012/10/29


暗殺教室感想(2012年47号)


第16話 台無しの時間

『ジョジョ』や『カイジ』で決戦が始まる時のルール解説のようなノリの扉絵から始まった『暗殺教室』修学旅行編。付き添いの担任教師を狙撃させるに最適なスポットに誘い込むことが課せられた修学旅行ってほんともうどういう状況なんだ。



意外にも乗り物に弱かった殺せんせー。音速移動にも耐えられる殺せんせーも、三半規管は普通の人間並みだったようです。そもそもあの体に三半規管があるのかどうかは分かりませんが。
「大丈夫?寝室で休んだら?」と言いながらナイフで生徒が斬りつけている光景ももはやお馴染みです。そろそろ生徒たちも無意識の動作で手が出せるようになってきているんじゃないでしょうか。

神崎さんの似顔絵入り日程表は不良生徒たちの手に落ちていました。真面目にも丁寧に日程表をまとめていたことが逆にあだとなって明日の行動を行動を細かく知られてしまうこととなります。中学生相手にこんな執着するとかこのロリコンどもめ。



京都といえば歴史と由緒ある建築物が集合する街でありますが、彼ら暗殺教室の生徒たちにとってはそんな街も暗殺の聖地となります。確かに歴史的に政治の中心となる地となればその分政変や諸々による人間の暗殺というものも枚挙にいとまがありません。

そしてもちろん観光だけでなく暗殺の仕事の方も忘れていない渚たち。一通りの少ない祇園の奥を先生誘い出しのルートとして選びます。
しかし、京都の中でも死角となる暗殺に適したスポットだったはずですが、ヤンキー生徒たちにとっても拉致にうってつけのスポットとなってしまいます。

台無しの先生のイメージ映像は例の別物にリメイクされたスペインの修復画ですが、改めて見ると口のあたりとか怖い。オチョナンさんの亜種か。

一人はこのメンバーの中では喧嘩慣れしたカルマがブチのめしてくれます。トドメに相手の目に指を突っ込んで殴り抜けるとか、中学生にしてすでにゴロツキどもがやるイギリス貧民街ブース・ボクシングの技巧を身につけています。というか、歯も何本かやられちゃってますけど、彼だけ中学生拉致るだけなのにすでに洒落にならない損害出てますよ。
喧嘩慣れしているとはいえ、所詮は中学生なうえに多人数に対して戦えるのはカルマだけ。不意打ちで殴られてあっさり気絶させられてしまいます。今まで殺せんせーや烏間先生の指導で暗殺のテクニックは身につけてきたであろう彼らですが、高校生相手という年齢と体格差、そしてなにより殺せんせーは決して反撃はしてきませんでした。この年齢にしては攻撃能力には長けていても、防御面では人並みの中学生程度の対応能力しかなくてもおかしくありません。


ところで、ヤンキーたちは渚はさらわなかったんですね。あんなにかわいいのにどうかしている。